2013年7月21日日曜日

ヨーガとタイマッサージ、そして仏教 【前編】



先日、また鎌倉にある建長寺さんの坐禅会に参加させてもらいました。
ところで、最近鎌倉に行くと、お寺でタイ人の観光客を度々見かけるようになりました。
おそらく7月1日から開始された、タイ国民が日本入国する際の査証免除(観光目的の15日間滞在)措置が効いているのだと思います。タイに友人のいる私としてはとてもありがたい措置です。
タイは、国民の90%以上が仏教徒ですので、日本独特の仏教文化は興味深いものでしょう。
そういった意味で、鎌倉へのタイ人観光客増加も納得がいきますね。

ヨーガとタイマッサージ、そして仏教。


以前に、ヨーガと仏教の共通点についてご紹介しました。今回は、ヨーガとタイマッサージの
共通点、そしてタイマッサージに見る仏教の影響をご紹介したいと思います。

ヨーガとタイマッサージに見る、生理学の概念。


ヨーガとタイマッサージは、その生理学の概念に共通点が多く、
ほぼ同じと言っても良いかもしれません。

ハタ・ヨーガでは、人間の身体を次の3つの概念に別けて考えています。
  1. 実際に目に見え触れることのできる肉体。粗大身(ストゥーラ・シャリーラ)
  2. 目には見えず、意識と生命エネルギーでできていて、
    肉体が滅びても朽ち果てることは無い。微細身(スークシュマ・シャリーラ)
  3. 自己と非自己を見分け、個人が個人として存在しうる原因であり、
    粗大身と微細身の存在を可能ならしめている。原因身(リンガ・シャリーラ)
この2つ目の微細身に存在するのが、生命エネルギー「プラーナ」の通り道である
脈管「ナーディ」であり、タイマッサージでは「セン」と呼びます。

ハタ・ヨーガの経典の1つである「ゴーラクシャ・シャタカ」では、
微細身には7万2千本のナーディがあると書かれています。
タイマッサージでも全く同数の7万2千本のセンがあると言われています。
さらに、「ゴーラクシャ・シャタカ」では、そのうち10のナーディが重要とされています。
タイマッサージでも同様に主要な10センが重要とされます。

10のナーディは、全て臍下にあるカンダと呼ばれる部分から発生していて、
日本でいう臍下丹田がこれに当たります。
このカンダを起点として、身体の穴(目、鼻、耳等)が終点となります。
タイマッサージでは両手・両足に伸びる脈管も加えられています。
上の表は、ハタ・ヨーガとタイマッサージの10本の主要脈管を示したものです。
上から3つまでは、ほぼ同じですね。
そして、その下からは名称はにているけれど、部位が違ったりしています。
ハタ・ヨーガの文献では、10のナーディを重要とするものの他に14を重視するものもあります。
おそらく、インドの文献が何らかのかたちでタイに伝えられた時に、
足したり引かれたりしながらタイの文化や環境にフィットするように最適化されて
現在の10センに落ち着いたのだと思われます。
タイでの10センの概念は、マッサージに限らずタイの伝統医学全般で利用されているものです。

タイ伝統医学の祖は、シワカ・コマラパ師とされていますが
彼は約2500年前、ゴータマ・ブッダの時代にインドに生まれたと文献にあります。
そして後にゴータマ・ブッダの主治医となった方です。
ですので、このヨーガとタイマッサージに共通する生理学の概念は、必然であると言えますね。


さて後編では、タイマッサージに見る仏教の影響をご紹介します。

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