2013年9月12日木曜日

ミャンマー ~微笑みと瞑想の国~



今、私には行きたい国が2つあります。
ミャンマーとブータンです。

ブータンについては、前回その特徴と共に紹介しました。
今回は、ミャンマーの特に仏教国としての側面についてご紹介します。

私達日本人が、近代化と共に忘れ去ってしまった精神文化を
ミャンマーでは垣間見える様な気がしてなりません。

まず、ミャンマーの内情を探る前に、
ミャンマー国内の宗教の多数派である上座部仏教について見ていきたいと思います。

東南アジアへの上座部仏教の流れ


上座部仏教とは、かつてインド仏教の保守派に属する上座部(テーラヴァーダ=長老部)
の伝統を継承して、パーリ語で書かれた三蔵を中心とする経典を信棒する点に
その特徴が見られます。

難しく説明してしまいましたが、
極々簡単に言いますと、お釈迦様の元々の教えを忠実に守ってきた人達ということでしょうか。
パーリ語とは、お釈迦様がいた時代のインドで使われていた方言で、
実際にお釈迦様もパーリ語で説法を行ったと言われています。
三蔵とは、律蔵・経蔵・論蔵から成る経典で、ちなみにあの西遊記に登場する玄奘三蔵は、
この三蔵に通じている僧侶であるので「三蔵法師」と呼ばれているのです。

話がそれましたが、その上座部の出家僧の生活はというと、

毎朝の托鉢による食事を午前中にとり、
午後は修行と勉学に専念して、パーリ聖典を学習し、あるいは瞑想を実践します。
全員が黄衣をまとって、厳しい寺院生活を過ごします。

日本だと禅寺の雲水(修行僧)の生活に近いのかもしれません。


上座部仏教は、主にスリランカ経由で東南アジア各地に伝えられ、
11~13世紀に現在のタイ、ラオス、カンボジア、ミャンマーで国家的に公認されました。

以下に、仏教成立から上座部と大乗に分裂するまでの流れを簡単な図にしました。
参考に御覧ください。

図.仏教の分派

ミャンマーの仏教


次にミャンマー国内における仏教の影響を見ていきましょう。


上の年表によれば、5世紀には既にミャンマーに仏教が入り込んでいたようです。
この頃は、まだビルマ族は姿を現していませんでした。
ビルマ族が登場するのは9世紀以降のことになります。

遺跡の調査から5世紀にはピュー族が築いた城市で上座部仏教・大乗仏教・ヒンドゥー教の
重層宗教が存在していたことが分かっています。

パガン王朝




11世紀半ばに、ビルマ族最初の統一王朝が形成されます。
それが、エイヤーワーディ川流域全体を支配下に入れたパガン王朝です。
初代アノーヤター王(在位1044~77)は、パガンで支配的であった密教的色彩の濃い仏教の
排斥を試み、上座部仏教を国教として定着させようと努力しました。

12世紀に入ると、パガン朝はスリランカのマハーヴィハーラ派の仏教を導入して
上座部仏教の改革にも取り組むようになります。

こうしてパガンには約250年の間に、王や有力者たちによって功徳行為の一環として
4000基を超えるパゴダ(仏塔)が競うように建立されました。

しかし、このことが直接上座部仏教の民衆レベルまでの浸透を意味したわけではなく、
その後15世紀末まで、一般の人々の間では大乗的・密教的な仏教が大きな影響力を
残したと考えられています。

過ぎた功徳行為による内部崩壊


パガン王朝は、1287年、元(蒙古)の皇帝フビライの軍勢に滅ぼされるのですが、
蒙古軍の攻撃以前から内部崩壊の兆しが見えていたようです。

原因はいき過ぎた功徳行為にあったと分析されています。

支配者層の中で上座部仏教化が進展し、彼らはパゴダ建立のほか、土地をこぞって
寺院に寄進し、そこで働く特殊な役割を担った寺院奴隷も多数献上しました。
こうした功徳行為はいき過ぎを見せるまでに至り、寺院領地の増大は非課税地の増大
としてパガン朝の財政を悪化させ、少ない人口にあって多くの寺院奴隷が寄進された
ことは労働力不足を招いて国力を弱めました。

仏教用語で「中道」という言葉があります。
本来の目的を失って極端な行為に走ってしまう事を仏陀は諌めました。
その仏陀の教えを忠実に守っていくべき人々が、いき過ぎた行為に走ってしまう様子は、
仏陀の教えの実践がいかに難しいことかを示していると思います。

フビライの軍勢を待つまでも無く、パガン朝は終わる運命だったのかもしれません。

瞑想の国ミャンマー




さて、ミャンマーの歴史を追っていくとな長くなってしまうので、
瞑想が盛んな国としてのミャンマーを見ていきましょう。

ミャンマーにおいて瞑想は従来、出家、なかでも人里離れた奥地に隠遁する森林の僧
によっておこなわれた修行の形態でした。
それが王権のもとでの仏教体系の中で正統なものとして取り込まれるようになったのが、
19世紀なかば、英緬戦争下のミンドン王の時代であったようです。
イギリスの植民地となっていた20世紀初頭にはカマタン・イェイター(座禅所)が設立され、
出家在家の別なく瞑想をおこなえる場が出現しました。
 ※イェイターとは、暑さから人々を保護する木陰のやすらい場を意味し、瞑想センター一般を示す言葉です。

さらに、独立後から第六回仏典結集にかけてウー・ヌ首相の時期に、
ターダナー・イェイターという仏教瞑想センターが作られ、集中力を養うサマタ瞑想以上に
知慧を生じさせるヴィパッサナー瞑想の重要性が一層強調されるようになりました。
そして、瞑想を実践するなら悟りの過程に入ることも可能で、そうした人々こそが
近代ビルマを指導する資質を備えているという認識が、この時期に生まれ
現在にも受け継がれています。

現在ミャンマー国内には、外国人も参加可能な瞑想センターがいくつかあります。
  • インターナショナル瞑想センター
  • ウー・バキン瞑想センター
  • マハーシ瞑想センター
  • チャンミ瞑想センター
  • ウー・パンディタ瞑想センター
これらの瞑想センターのほとんどが、無料で修行できるシステムになっています。
それは、「瞑想する人々を支えることは仏陀に布施することに等しい。」と言われるように、
ミャンマーの人々は信仰心が厚く、多くの人々が修行者のために喜んで寄進するからなのです。
素晴らしいことですね。

さて、瞑想センターのタイムテーブルの一例を記載しておきます。
瞑想センターへの参加をお考えの方は参考にしてください。

 4:00~      起床、お茶
 4:30~6:00  瞑想
 6:15~      朝食
 7:30~8:30  瞑想
 9:00~10:00 瞑想
10:30~      昼食
12:30~14:00 瞑想
14:30~15:00 瞑想
16:00~17:00 お茶(五戒の場合は夕食)
17:30~18:30 講話
19:00~19:45 講話
21:00~      就寝


宗教間の対立


ここまでは、ミャンマーって良い国だなと思えてきますが、
ミャンマーにも暗部はあります。

軍事政権と少数民族との対立は以前から存在しましたが、
宗教間の対立はミャンマーではこれまで聞かなかったように思います。

しかし、昨年6月にラカイン州でイスラム教徒のロヒンギャ族と仏教徒の対立が激化。
今年の3月にはメイッティーラで死者が多数出る暴動や放火が発生し、
暴動に加わる僧侶姿の人々が目撃されています。この対立の扇動者として
浮上してきたのは仏教の高僧でした。これはアメリカのタイム誌でも特集されました。

道徳律を守るべき仏教僧がこういった扇動や暴動に参加しているということは
非常に残念なことです。

生きとし生けるもの全ての幸福を願うことが、
仏道を志す者のあるべき姿なのではないでしょうか。

この対立が早く治まってくれることを祈るばかりです。

瞑想ビザ


これは本当にミャンマーならではの制度なのですが、瞑想ビザがあります。
瞑想修行に来る外国人のために長期滞在を可能にするビザです。

だれでも簡単に取れるわけではなく、滞在に関しての保証人の証明や
スポンサーシップ・レターの取得などが必要になります。

しかし、真剣に瞑想の修行を志す者にとっては、大変有難いビザになるでしょう。


最後に、パーリ語で書かれた仏典のうちではおそらく最も有名だと思われる
「ダンマパダ」(法句経)から一言拝借いたします。


” もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。
                          影がそのからだから離れないように。”
                                  
                                  「ダンマパダ」


2013年9月10日火曜日

チェンマイ式タイマッサージ講座(レベル1,レベル2)@よみうりカルチャー横浜



チェンマイ式タイマッサージ講座10月2日より始まります。

 場所は、よみうりカルチャー横浜(そごう横浜9階)。
 毎週水曜日13:00~15:00 の1日2時間、3ヶ月(12月25日まで)。
 受講料:   34,125円 3ヶ月 13回
 テキスト代: 3,000円

 初めての方から本格的に学びたい方まで、講師の須甲雅弘が丁寧に指導致します。

講座をご希望の方は、9月25日までに下記リンクより御予約お願い致します。

詳しい内容(料金等)は下記リンクを御覧ください。
ご予約も下記リンクよりお願い致します。

【よみうりカルチャー横浜】
http://www.ync.ne.jp/yokohama/kouza/201310-11750070.htm

皆様のご参加を心よりお待ちしております。